Mobile Tech Lab vol.003|人が多いイベントで電波が繋がりにくい時の対処法

2025年4月20日放送の「Mobile Tech Lab」第3回放送のアーカイブです。

F1の会場や花火大会などの人が多く集まる大規模イベントでネットワークが繋がるための技術について話しました。電波がつながりにくい時の対処法についても語ってます。

オープニングトーク

4月ということで新生活。環境変わった方はそろそろ慣れてくるかなぐらいな気がします。けれども。
やっぱりお二人としては新生活・・・特に北さんは。この番組が始まったのが、環境の変化ですかね。

初回のラジオ聞いたんですけど、自分の声が地上波から流れてくるこの感動たるやっていうところで。大きな環境の変化でした。

SNSでも皆さん「#モバテク」で色々とポストしていただいて。「高校生」から「この曲懐かしすぎる」っていう方のコメントまでたくさんいただいてありがとうございます。ぜひ今夜も皆さんには思い出と共に投稿していただければなと思っております。

おサイフケータイ

ORANGE RANGEの「以心電信」ですが、CMソングとして、非常に流行りましたよね。

ORANGE RANGEはもうド世代と言いますか。若かりし頃にカラオケで歌いまくってた世代なので、これを聴くと感無量というか。

「以心電信」がリリースされた2004年は、おサイフケータイFeliCaが始まった頃だそうです。

携帯電話会社が元気だったりしましたし、いかに新製品に新しい機能を付けて売っていくかというようなタイミングだったので、まあCMバンバン流れていたなという印象ですよね。

おサイフケータイってのが懐かしい。最近も付いてはいるけど、誰もおサイフケータイって言わなくなりましたね。

非常に日本独自のイメージがあります。

携帯でお金払うとか電車に乗るってのは、日本からスタートして世界で当たり前になってきたということを考えると、ガラパゴスな機能だなって感じますね。

大規模イベント対策

さて、この番組では最新のモバイルテクノロジーを学んでいこうということで、みんなで持ち寄った今注目すべきモバイルテクノロジーなどをご紹介していこうと思います。本日のテーマは、石川さんお願いします。

本日のテーマは「大規模イベント対策」です。

私、先日三重県の鈴鹿サーキットで行われたF1グランプリを見に行ってきました。もう30年ぐらいずっと行ってるんですけど。

そんな中で今年は、最近Netflixとかのドキュメンタリー番組の影響でF1って世界的に人気が高まっていて、日本でもホンダが活躍していたりとか。角田裕毅選手が出てたりもするので。

非常に盛り上がっているというところで、この間の日本グランプリでは3日間で26万人が来たそうです。

すごい人数ですね。

しかも今F1って、サーキットを走ってるタイムが分かるアプリがあったりするんですよ。そういうのを見ながらレースを見るという環境なので、みんながみんな結構SNSとか、スマホで通信したがってるわけです。

モニターではなくて個人個人のアプリケーションから見られてるんですね。

席によっては大きなモニター見れなかったりもするんで。っていう中で各社イベント対策をしているというところです。

これ数年前までは4社がそれぞれ移動基地局車っていう大きなアンテナが乗ったトラックみたいなものを出してたんですね。

それで数万人来るのを対策したんですけど、そこに去年ソフトバンクが風穴をあけまして。鈴鹿サーキット全体で快適に通信ができるようにアンテナを立てまくり周波数を用意しまくり、「うちは基地局車出しません」っていうようなことをやったんですよ。

アンテナを用意したので基地局車は必要なくなったってことですね。

一年に一回しか人が来ないんだけども、その日のためだけにうちはやりましたってのをアピールして。

その取材に行って原稿を書いたんですよ。そしたら他の2社に火がつきまして、今年ドコモとKDDIも極力基地局車を出しません。アンテナを立てましたよ。

ドコモとソフトバンクに関しては、グランドスタンドっていう人がいっぱい集まるところにミリ波のアンテナを置いてます。ミリ波っていうすごい周波数の幅があって大容量で通信ができる電波があるんですけど、いかんせん端末があんまり対応していない。iPhoneは非対応です。

対応してる端末スマートフォンも、GalaxyとかPixelとか、あとXperiaとAQUOSの高いモデルは対応してるけどそれ以外は対応してないというような周波数なのであんまり使ってる人がいません。

実際対応端末持って行って使ったんですけど、まあ快適にサクサク。光回線かっていうぐらい。

各社、数万人が来るようなイベントは対策を打っているんですけども、実際これ北さん相当大変なんですよね、ここの対策って。

例えば花火とかコミケとか、いろんなイベントがあるんですけど、結局携帯の電波って限られてるリソースを皆で奪い合うようにできてます。

極論を言えば、先ほど言ったミリ波っていうのはエリアがすごくちっちゃい代わりにいっぱい打ってそこにいる間はみんな快適に使えますよというものです。一番有名なやつでビームフォーミングといって、その基地局が人を狙って撃つみたいな。

そこにいる人に向かって発射みたいな。

先ほど石川さんに言っていただいたように、昔は移動基地局とかを持って行ってちょっとでも「カバレッジ」と呼ばれるエリアを広げたり、安定的に確保したり、最適化してました。

多くの人を収容して一人がいっぱい使わないように、通信の速度をわざと制限かけるようなリソースの配置にするとか、そういったいろんな工夫があります。パラメーターのチューニングっていうのをそのイベントの時だけ変えるみたいなことをやってたりする、結構英知の結晶というか。

正月イベントってのもあったりして。お正月になると今はみんなLINEとか使うから大丈夫なんですけど、
メールであけおめメールを送ったり、電話であけおめって言ったり。

誰よりも早く00:00のタイミングで送るぞっていう意気込みがありましたね。

あれもネットワークを落とさないようにするための工夫があの当時にはあって。

何をしてたかっていうと、あけおめメールが一斉にドン!と上がると、メールのサーバーとかパケット通信をする交換機というやつが落ちてしまうので、そうならないようにわざとちょっと規制をかけてちょっと繋がりにくくして、ネットワークが死なないギリギリのラインを狙うみたいなことをやっていたんです。

それで具合を見ながら、ちょっとずつその規制を解除していくみたいなことをやるっていうのを、各社そういう工夫をしながらネットワークが完全に死なないように、でもそこそこ快適に使えるラインというのを目指して最適化をやってましたね。

センター問い合わせをして誰が最初に届くかみたいなのを競ってたような印象があります。

イベントのための電波

そもそもそのイベントのために電波を用意するというのは。イベントの主催者側が言うものなんですか?それともキャリアの方から来るものなんですか?

やはりキャリアの方がやらなきゃいけないなっていうところは非常に感じていると思います。

いまは繋がらないとSNSでやれどこの会社の電波繋がらないとか書かれてしまい、結果としてそれが悪い評判に繋がったりもするので、SNSに極力書かれないようにするというのを重要視してるのかなと。

なので、大規模イベントの時には移動基地局を出すことがあったりもします。

あと毎年の恒例ですけども、夏のタイミングで富士山が山開きしてる時は富士山の頂上側をエリア化して、SNSでご来光を上げられるようにするということをしたりもします。

イベントの時に快適に使えるようにというところで各社競争しているという感じで、なかなか目立たない競争なんですけども、各社非常に力を入れてるとこだったりもしますね。

印象深いのはコミケで、背中に電波の機械を背負って歩いてる方いらっしゃいましたよね。あれはどういう仕組みになってたんですか?

あれはWi-Fiルーターを背負っていて、技術的に繋がりやすくするというのと、必ず企業のロゴを背負ってたりもするのでPR的なアピールもあるんじゃないのかなと思いますね。

例えばポケモンGOのイベントとかっていくと各社その基地局がいろんな車で来ていて、すごく各社努力してくださってるんだなというのを感じますよね。

最新の技術が投入されていて、ミリ波っていうのもありますし、ユーザーに向けて電波を飛ばすという技術もあったりもします。会社によっては光回線を引いたりもします。

コミケの現場には一切行かないんですけど、ひたすらSNSでどこのネットワークが落ちるかなって確認してます。

エゴサーチじゃないですけど、繋がらないところを探してね。

さっきのF1の例のようにソフトバンクが筆頭になって始めて、各社が「じゃあうちも!」っていう風に乗ってくるパターンというのも結構あるものなんですか?

そうですね、やはりそこは非常に競争してるところだったりもしますし、SNSの声っていうところで共有されたりもするので。

例えば、どっかの会社をネットワークの評判悪いとなると別の会社もユーザーも「あそこって悪いんだ」っていう認識になったりもするので。そういったSNSの声ってのは重視されてるかなと。

現場の方どのくらいSNS見てるんでしょうね。

あんまり言えないですが、どこの会社も基本的にはSNSが監視の画面の横に流れてるかもしれないですね。

回線が混んでる時にユーザーができること

そういった状況の中で1ユーザーとしてこういう風にすると使いやすくなるよとか、電波が全然捕まらない時にどうしたらいいのかっていうTIPSみたいなものもありますか?

有名な話なんですけど機内モードにして戻すみたいな話。携帯電話って元々発信位置登録っていうのをやるんですけど、一番最初に「繋ぎたいです」って言って、基地局から交換機を繋いでいいですよっていうやり取りをしてるんですね。

繋がらなくなった時にそれを一回解除してもう一回繋ぎ直しに行くと、空いてるところに入れる可能性があって。

本当に混んでる場所はそれをいくらやってもあまり意味がないんですけど、運が良ければ機内モードとか、モバイル通信をオフにしてオンにし直すことで繋がる可能性はあります。

なんとなくスーパーの混んでるレジから空いてるレジにもう一回並び直すみたいなイメージですかね。

アンテナにキャリアっていうやつがあって、大体一つのアンテナに4キャリアっていうのが積まれてたりするんですけど、それをちょっと別のキャリアに繋ぎに行くとかってことが発生したりとかっていうのがあって、一応テクニカルにもそれで繋がる可能性はあります。

ただ、本当に混んでる時にはどこのキャリアもいっぱいいっぱいなので繋がりませんていう感じです。

基本は機内モードのオンオフを試してみる。

スマートフォンによっては遠くのアンテナと繋がってしまってる状態もあったりとかもするので、先ほど北さんがおっしゃったように一回機内モードにすることで快適になる可能性はあったりもするのかな。

ガラケーの時とかはアンテナ伸ばしたり振ったりしてましたけど、あれって意味あったんですか?

意味なかったです。

何の意味もなくやってたんですね。

あの時も一回切って電源入れ直すと繋がる可能性があったとは思います。

機内モードって、そういえばフィーチャーフォンにはなかったですよね。

なかったですね。

なんとなく電源を切って入れ直すっていう印象でしたけど今あんまりスマートフォンで電源切ることそんなにないですよね。

重くなったら再起動すればいいみたいなことを言う人いますけど、あれもまあ若干ね…。

再起動でそんなにリセットができるわけでもなくなってきてるんですかね。

繋がりやすいネットワークを維持する苦労

でも本当に色々な人の努力の上に大規模イベントの対策っていうのをされてるもんなんですね。

電波は見えないものなので、本当に混んでるか空いてるかっていうのは分かんなかったりもしますし、ユーザーは本当にクレームいっぱい上げてくるので、本当に現場で電波の対策してる人って大変だなっていう感じがすごいしますね。

各社リスクヘッジのようなものですよね。クレームに繋がってしまうから、とりあえずイベント対策をしっかりしていこうみたいな。どのくらい前からやられるんでしょう、皆さん。

もうイベントって分かってるんで、あらかじめそういう体制組めるので、その日にここに誰が出動するってのは全部決まっています。

じゃあ1年通してタイムラインで大体決まっててコミケはここにあって、鈴鹿はこの日で…。

その辺は分かりやすくていいんですけど、やっぱり一番厄介なのが通勤電車とか。例えば電事故が起きましたっていう時に人がワーって品川駅に大量に行きますみたいな。ああいうのが一番キャリアとしては対策がしづらいですね。

何かのトラブルで人が1箇所に集まってしまった時。

ゲリラライブとか。あれはもう手の打ちようがない。

確かにゲリラですからね。

あと花火大会も若干読みづらいです。結構広い面で人が移動するので。今日はこの会場が実はめちゃくちゃ混むんだけど、みたいなのが毎年ちょっと傾向が違ったりするので。

海辺で少しずつずらして使われたりしますもんね。そういうのも皆さんイベントを見ながら対策されてるんですか?

各携帯電話会社のサイトを見るとちゃんとイベント対策のカレンダーみたいなのがあって。しかも地域別に分かれていて。この関東地区であればこの時期にこれだけの対策しますよという具合です。

しかも携帯電話会社によっては、どういう移動基地局車がいますよ、どういう対策しますよといったものも出したりします。

それを見てふむふむと思う人はかなりマニアックな方だと思うんですけど、それを見て行くっていうのもありなのかなという気がします。

TIPSとして行く時にどうなんだろうなとチェックしてみるのもいいということですね。

モバイル思い出話「プッシュ・トゥー・トーク」

さて、ここからはモバイル思い出話のコーナーです。

携帯やスマホにまつわるエピソードトークをお話していこうと思うんですけれども、今日は初回の時に非常に盛り上がったプッシュ・トゥー・トークのお話ですね。

すごくリスナーの方からも、特に若い世代に「プッシュ・トゥー・トークって何?」っていうポストをいただいたりもしましたので、プッシュ・トゥー・トークについてちょっと詳しく解説していただきたいなと。

元々これはアメリカで結構流行っていたサービスで、ボタンを押しながらトランシーバーのように一方的に喋る。相手はまたボタンを押して一方的に喋る。というようなことを繰り返して喋るというものでした。

当時導入された頃というのは、音声の通話定額というのが実現できなかったので、だったらプッシュ・トゥー・トークという機能で定額制を実現しようという感じになってました。

当時ドコモがプッシュトークで、auがHello Messenger、というような名前でサービスを提供していたというところです。

なので、当時の携帯電話には専用のボタンもあって、それで押しながら喋るというものになってたんですが、あんまり日本では定着しませんでした。

最近ではゲームのソフトにその機能が付いていたりとか、いわゆるDiscordゲーム配信に使われるアプリの中にそのプッシュ・トゥー・トークという機能があるので、若い世代の人はそれで知っている方もいるみたいですね。

アメリカではそれなりに定着したサービスなので、その流れでゲームにのってコミュニケーションツールとして利用されてるというところがあるようですけども、日本の人ってデバイスとかに対して声を出して話しかけるってことはあんまりしないのかな。

ちょっと恥ずかしさがありますよね。例えばFacebookやMetaで提供されているMessengerでも、割と外国の方はそのプッシュ・トゥー・トーク的なボイスチャットを送ってくる方が多い印象があるんですよね。なぜ音声で送ってくるんだろうと思ったんですけど多分プッシュ・トゥー・トークの流れですよね。

例えばスマートフォンで文字入力しにくい言語だからとりあえず声で送ってしまうというようなところもあるでしょうし、そもそも打つのが面倒くさいとかっていう人がある一方で、日本のユーザーって電車の中で使う傾向もあるので、声出すよりも文字をひたすら打つ。それがどんどん速くなって、打った方がより早く入力できる。相手に伝えられるというところもあるので、若干使い方の差っていうのはあるのかなって気がします。

日本語はフリック入力があるので非常に手がすごく小さい動きで色々書けるっていうのもあるのかもしれないですね。

うちの子供なんかは小学校高学年なんですけど、小学校低学年ぐらいの時に結構音声をバンバン投げてて。文字入力が苦手なのでそういう子供達でもやり取りできるって意味では結構音声を投げるっていうこと自体は文字入力するのが面倒くさい人にとってはいいのかなっていうところと。

あと我々絵文字とかスタンプとか使うじゃないですか。そうなってくると、声のやり取りというよりはそういうビジュアルのやり取りみたいなところに重きを置いてるのかなっていう気はします。

確かに凄くLINEが本当にインフラ化したのもLINEスタンプが一つの要因だったなと思いますよね。

この間、日本のあるメーカーの日本研究所っていうとこに取材に行って話を聞いたんですけど、やっぱり日本語って結構難しいと。要は、主語がなかったりとか。

あとLINEのスタンプみたいになんとなく気持ちを悟ってねみたいなコミュニケーションじゃないですか。

っていうところで、生の声を送り合うっていうのも日本のユーザーからすると敬遠するのかなと。相手がどう取るか分かんないみたいなことだったりすると思うので。

絵文字でごまかすとか、スタンプでごまかすとかっていうような感じがあるので、プッシュ・トゥー・トークみたいなアメリカで流行ってるから導入すればいいと思って導入しても、やっぱり日本人のコミュニケーションスタイルに合わなかったというところが、振り返ってみると反省点なのかなと思いますね。

元々は定額制にすることを目的にしていたサービスなんですか?

それが一つの狙いでもあったって感じですね。

じゃあ本当はもう少しコスパ良くやりたかったけれど、できなかったのでその技術が良いんじゃないかっていうことですかね。

今って音声定額普通にあるじゃないですか。あれとプッシュ・トゥー・トークって技術的には同じなんです。よ。SIPっていう仕組みを使っているので。

要は昔の音声の交換機を全部置き換えるっていうのは、まだまだ時間がかかります、お金がかかりますっていう時に、先にとりあえずそういうプッシュ・トゥー・トークみたいなサービスでIP電話と同じ仕組みを使って無料化というか、定額化していくっていうのがあって。

今となってはもう、もはや全ての交換機と言われる電話をするための機械っていうのをIPの機械に置き換えたので、プッシュ・トゥー・トークじゃなくても普通の電話を定額にすることができるようになってきた、っていう背景はあるのかなと思います。

エンディング

Mobile Tech Lab。そろそろお別れの時間となりました。北さん石川さん、今日の放送いかがでしたか?

プッシュ・トゥー・トークでここまでしゃべるとは思わなかったからちょっと本当に思うのが、我々昔話バンバンしちゃいますけど、若い人がついて来れないなって感じもするので、若い人に興味を持ってもらえるように昔話をしたいなと思います。

そうですね、昔の時代を学びになるように、ですね。北さんは?

そうですね、大規模障害の話をラジオでするってたぶん日本初なんじゃないかな気がするので。大規模イベントの話ですね。なので非常に感無量です。

今のところ日常的に起こっていることであるので噛み砕いて説明できるとみなさんにもいろいろなライフハックになるのかなと思っております。

ラジオで放送した楽曲

以心電信 / ORANGE RANGE

車も電話もないけれど / UNICORN