2025年8月3日にBAYFM78で放送された、Mobile Tech Labの第18回のアーカイブです。
今回は技術的な話ではなく、モバイル業界で長年取材をしている弓月ひろみさんと石川温さんに、取材の裏話を伺いました。
目次
オープニングトーク
6月から暑かったので、なんですけれども、夏真っ盛りという感じですね。夏といえば北さんは?
私はいつも通りですが、キャンプ。
暑くないんですか?
高原に行くんですね、 この時期は。1400メーター級を狙ってキャンピングカーで行きます。
涼を取りに行くという感じなんですね。石川さん、夏は?
静かに過ごす。結局ねこの業界、9月から忙しくなるんですよ。っていうのもあるので、静かに過ごしとこうと思うんですけど、ただ、最近は9月の大きな発表会の前にそこにぶつけるような形で他のメーカーの発表会やったりもするので、なんだかんだであんまり休めてないという状況ですね。
ジャーナリストの皆さんはただただ忙しくなっていくのみっていう感じですけれども、夏バテしたりしないように皆さんもお気をつけください。
取材の裏側
さて、この番組では最新のモバイルテクノロジーを学んでいくということで、私たちが持ち寄った今注目すべきモバイルテクノロジーをご紹介します。
本日のテーマですが、ちょっとモバイルテクノロジーというか、違う話題ですが、テーマは「取材の裏側」ということで お話ししていきたいと思いますけれども、やっぱり石川さん、いろいろいろんなメーカーの取材に行ってると思うので、裏側もたくさん見てきてますよね。
そうですね。もうかれこれ20年以上取材しているので、いろいろな発表会ですとか、そういったところを毎月毎月取材するという感じですね。
北さん聞いてみたいことありますか?
今までいろんなイベントがあったと思うんですけど、 どれが一番思い出深いかとか、あと海外のイベント行った時にご飯とかどうしてるのかなとか、色々聞いてみたいなと思います。
発表会って、新製品発表会がありますけども、大きな会場に数百人の記者が世界から来ていて、そこでプレゼンテーションが始まると。
まぁだいたい1時間ぐらいプレゼンテーションがあって、その後に製品を触るタッチアンドトライというのがあるのが基本的な発表会・取材の流れになっています。
っていう中で、昔はそれこそ、発表する側の企業とメディア っていうぐらいしかいなかったんですけど、最近は企業とメディア+インフルエンサー。さらに、はファンと呼ばれる人たちがいます。
このファンっていうのは、そのメーカーの製品が大好きですよと。いっぱい使ってますよ、という人たちを集めて喜んでもらおうと。
なぜか同じTシャツを着ていて、拍手したりワーっていったりとかっていう人がいるという状況です。
あとインフルエンサー枠ってのも最近増えてきて。やはりね、発表会やってもどうしてもテクノロジー好きな人しか見ないっていう状況になるので、そういったライフスタイルを語ってるような方ですとか、モバイルとかテクノロジー寄りではない人を呼んで、そういった人たちに発信してもらうというような感じでやってるというとこだったりもします。
なので、ここ数年ね、だいぶ発表会自体の様相も変わってきたという感じですね。
私、発表会に行って、自分の所属がどちらかわからない時あります。
弓月さん結構微妙なあれですよね。
メディアで呼ばれる時もあればインフルエンサーみたいなので呼ばれることもあるんですけど、当日まで分からなくて。受付で「どちらですか?」って言われて逆に私がちょっとどちらかわからなくてみたいな。どちらも見ていただくことあります。
何か違うんですか?インフルエンサーとメディアで。
う〜ん、なんか。すごく違うこともあります。インフルエンサー向けにスタジオが用意されていたり、キラキラした感じのものが用意されてるバージョンと、メディアの人向けには開発者の方にお話が聞けるとか。
やっぱり訴求したいところによって内容が違うことがあるので、「あ〜、あっち行きたかったな」なんてって思うことありますよ。
かなり細かい話をすると、メディア対応って企業の中では広報部がやるんですよ。一方で、インフルエンサー対応はどちらかというとマーケティング部とか宣伝部とかがやったりする。ということで、企業としては対応する部署が違うところはあったりするのかなっていう感じです。
すごい特殊な感じになるんですけど、1列目をどうやって取るのかっていうのは私も始めたばかりの時は分からなくて。でも先輩方がものすごい早くに並んでたりするんですよ。「開場時間通りに来てしまった、しまった」ってなるんですけど、石川さんはいつも早めに行くタイプですよね。
全体的に日本のメディアって早めに並ぶんですよ。それで言うと、この前ゲストで出てくれた山根康宏さんとかもうすごい早くて。
それを見習う形でできるだけ先頭に並ぶっていう感じなんですけど、山根さんもね、だいぶベテランになってきて「今日はいいかな」みたいなことを言い始める時もあったり。並んで一番前に行こうと思ってもね、当然に一番前は関係者席だったりもしますし。
あと別の海外のメーカーだと、地元のメディアが優先されて、なぜかうちらの前に先に入っていたパターンもあるので、全然前に行けないってこともあったりもします。前に行って良い写真撮りたいんですが。
一方で、前にインフルエンサーとかいたりすると、棒の先にスマホをつけてめっちゃ高い位置で撮影してたりするわけですよ。そういう人たちが前にいっぱいいると「写真撮れねーじゃん、おいおい」みたいな小競り合いがあったりします。
ちょっとうまくそこをコントロールしてほしいなと思う時ありますよね。誘導された方は何もできないですからね。
緊張状態走るんですよ。
発表会の食べ物
食べ物はどうですか?どこの発表会がおいしかったとか。
日本の発表会って食べ物ほぼ出ないんですけど、海外の発表会は朝9時〜10時スタートの場合は当然朝食的なものが並んでたりしますし、昼間の時間帯は基本的に出たりするって中で。Appleの発表会はカフェがあったりとか。
あとSteve Jobs Theaterって1階と地下構造になっていて、1階にちょっとしたつまみがあったりするんですけど、意識高い系の食べ物がすごい多いんですよ。
オーガニックなんとかとかヴィーガンなんとかみたいなのがすごく多くて。
味が薄いとかですか?
複雑な味みたいな。
繊細な味みたいな。
コーヒーとかはラテアートしてくれて、りんご書いてくれたりするので嬉しいんですけど、ちょっと私も他の記憶があんまりないです。
この間のイベント(WWDC25)とかも初日・2日目とか全然食べる気失せていて、そしたら3日目ぐらいにカツサンドとか焼きうどんとかが出てきたんですよ。やったーと思ったら焼きうどんにパクチー入ってて。「焼きうどんにパクチーなのか」みたいなので、なんかちょっと。
日本じゃなくてタイだなという感じですよね。でも割と本当に裏側じゃないですかそういうのってたくさん見ないとわからないし。
Samsungとかは韓国料理とか出たりしないんですか?
この間パーティーの時には韓国料理っぽいの出ましたけど、発表会の時には全然出てなくて。
CESでもメディアデーがあるので、前日にKeynoteとかあったりするんですど、やっぱりNVIDIAとかは小籠包みたいのがちょっと前室に出てたりとかして。
お国の美味しい料理出してくれるところは始まる前か終わった後に美味しいもの待ってるんだろうなっていう気持ちになるので、若干テンション上がりますね。
やっぱり中華いいんじゃないですか?
中華いいですよ、美味しいですよ、NVIDIAの。Xiaomiもどうなんでしょうね。
Xiaomiは、ありました?
例えば、中国開催とかのイベントだったらやっぱりそれなりに美味しいものも出てくるんですけど、じゃあなんかスペインでやるXiaomiのイベントで そういった美味しいものが出るかっていうと微妙かなっていう印象があったりする一方で、なぜかHuaweiはめっちゃうまいみたいなのあったりするかな。
資本力が違いますね。
あとはどういう気持ちでおもてなしするかっていう考え方の違いですよね。
それで言うとHuaweiは昔、中国本場からシェフまで呼んでくるんですよ。
本気だ。
本気なんですよ。しかもサーブする人もいて。その人もなんかモデルっぽい感じがしたんですよ。っていうホスピタリティもめっちゃ金かけてるみたいな。
でもその発表会に入った時に会場とか見た目とかしつらえで「うわぁ、お金かかってるな」って思うとすごく気合入れてやってるんだなって思うので、ワクワク感も高まるのもありますよね。
そうですね、だからそういったわけで工夫を凝らしてるメーカーも多かったりもしますし。
この間、先月Samsungの発表会でニューヨークに行きましたけども、ブルックリンにある倉庫街みたいなところを一部貸し切っていて、そこで展示・タッチアンドトライ会場と発表する会場と別々で3日間ずっと使ってたりとかってあったりもするので。
絶対イベント会場だけでメチャメチャ高いですよね、ニューヨーク。
年に1回とか2回のイベントなので、メーカーとしても相当気合い入れてやっているっていう感じはあります。
Samsungのイベントって多分端末だけじゃなくていろんな基地局とかも含めてですか?
いやもう本当に端末・スマホだけ。Galaxyだけって感じですね。
それで3日間ってネタがよく持つなっていうイメージが。
先月のSamsungの場合だと、前日にチラ見せというか、ある程度見る機会があって。真ん中の日に発表会。その次の日には関係者のトークセッションみたいなのがあって。それをメディアは取材する。
で、一方で、インフルエンサーとかYouTuberの人達はブルックリンの街を歩かされて写真とか撮って。
フォトウォーク。
Galaxyで撮るとこんなに綺麗だよみたいなことをやったりするとか。あとウォールペイントみたいなのをやらされたって言ってたかな。それで何か競わされたみたいな。
やっぱりどういうコンテンツを最終的に作りたいかっていうところですよね。何を作って欲しいかっていうところで、 ターゲットが変わるから。
メディアは記事を書く、インフルエンサーは目立つコンテンツを出したいと思ってたりするので、そういった人に合わせてアクティビティも変わってくるって感じですかね。
それを考える企業側もすごい企画が大変というか。準備がめちゃくちゃ大変そうな。
なので、多分今までメディア対応ばっかりした人は当然いるんです。けど、。
そういったインフルエンサー向けに強い人達っていうのが また採用されてたりして。
そういった人が一生懸命考えてるってことだと思います。ね。
あとは会場のしつらえとかもあって、Appleの本社だと1脚8万ぐらいする MARNIの椅子がもう何百とドーンと並んでるという。一見豪勢には見えないですけど、 すごいお金かかってるなっていう。
やっぱりAppleって日本の文化とか日本のものづくりとかを 非常にリスペクトしてくれている。
HIROSHIMAっていう椅子ですからね。
そのHIROSHIMAって椅子を何千脚もAppleの本社に入れてる。
MARNIよく作れましたね、何千脚も。
どうしたんでしょうね、納品。
あれを全部運んだのかなあっていう。
職人連れてきて。
工場を作った方が早いんじゃないかって気はちょっとしたんですけど、その辺はなんか林さんとか知ってるのかな。
普段皆さんが使われてるカフェの一部とかから、WWDCの場合は半分オープンエアになるところと室内になるところに跨ったような感じでやられるので、普段から使ってる椅子ってことですもんね。
メディアとして取材に行くために
いろいろ面白いですよ、裏側も。この番組で取材にも行きたいですよね。
メディアになれるってことですよね、この番組って言えば。
そう、だから北さんもちゃんとメディアパスで入れる。
申請して。
ご一緒してもいいですか。
是非にです。あっでも、そういえば、メディアパスってどうやって取るの?っていうのがありますね。
あ〜、そうですね。例えば、グローバルのイベントでいうとCESとかMWCとかありますけど、CESのサイトに行くとちゃんとメディアのページがあって。
レジストレーションがあります。
それは申請するんですけど、CESはめっちゃ緩い。いきなり入りやすいですよね。
入りやすいと思います。
あそこはもうとにかく人を集めたいっていう感じなので、 かなり入りやすい。インフルエンサーでも入れるという感じですし。
一方で、モバイル業界のMWCって毎年2月から3月にかけてやっているイベントに関しては結構厳しい。あれってもともと一般で入るとね 何十万っていうチケットなんですよね。
チケット収入にもなってる。
チケット代で稼いでいるイベントなので、メディアの場合はをタダで入れるので、メディアを名乗るとなるとある程度実績が必要だったりとか。あと編集長のね、お墨付きというか。
サイン入りのレターを送ってくださいっていうのがありますね。
媒体のURLというかね、アドレスが入ったメールアドレスで送らなきゃいけないとかあったりもするので、 その辺は厳しいというところですし。ただ、企業の発表会はとにかく普段から発信してそこで目をかけてもらうしかないかな。
見つけてもらうまでやるしかないっていう。
認知される番組になれば呼んでもらえるかもしれない。
こういう番組をやってるので、ってアクセスしてみるのもありかもしれませんが、でも本当に国によって全然、というかイベントによって違ったりするので。
最近COMPUTEXもちょっと厳しくなってる とかあるみたいですよ。昔は本当に名刺出せば入れるみたいな感じだったのが、「ここ1年でCOMPUTEXのことについて書いた記事はありますか?」みたいな質問があってURL載せたりとか、PDFで送ってくださいみたいな。
ウェブサイトの記事をPDFで送るのも結構大変なんですけど、証明書としてそれを送って、審査がOKになれば入れますよっていうところも結構ありますね。
現地取材の強み
昔はとりあえずメディアとして入ればいくらでも原稿書けましたけど、最近はもうね、発表会自体がもう YouTubeでライブ配信されているって状況なので、なかなかメディアとして現場に行きましたっていう時に何を書いたらいいんだろうかっていうのは結構悩ましいと言いますか。
現場にいると速報記事って書きにくいんですよ。その場で取材してバーッて書いても結局ね、日本でYouTube配信見てる編集の人達とかの方が圧倒的に早く速報記事あげちゃうので。
じゃあわざわざ現場に行って何を書いたらいいんだろうっていうのは毎回悩むというか。
Appleの発表会だと、日本語じゃない場合は同時通訳を聞きながら発表会見てるので、結構まとめるのも混乱しますよね。英語聴きながら日本語聴きながらXで何か書くって言っても割とスピードも大変ですし。
あとは自分も移動してますから、座ってデスクで書く方が絶対いいってなると日本にいる人の方が早かったりしちゃうんですよね。
Apple Vision Proが出た時の現地で触ってる方々の体験記みたいなのは、やっぱりこたつ記事では出せない臨場感というか、喜びがひしひしと伝わってくるみたいなのがあって。
体験できますよって言われて集合場所行くとAppleパークの中を移動するカートに乗せられるんですよ。ゴルフカートみたいなやつ。ずっと乗っていくと芝生の丘みたいな上に白い建物がドーンと建っていて。
で、あそこが体験場ですって言われて、それも2日間しか使わないんですけど、そういった建物をAppleパークの中に建てて。大きさで言ったら面積的には体育館ぐらいあるのかな。
映画のセットを立ててるっていうことですよね。そのイベントとメディアの体験のために家を建てて。
あ、たしかにそうでしたね。凝ったセットがあるみたいなのを写真で見て。あれ潰したんですか?終わってから。
終わった翌日にはもう潰しているって言ってたので。
CarPlayの撮影用にも半分の家とか建ててますもんね。
10年目のApple Watchの時もそういったものを建ててたりもするので、やっぱりね、アメリカ企業はやること半端ない気がしますね。
大企業のお金のかけ方
綺麗な絵と本当に体験して欲しいもののためにそこはお金を費やすという。
お金のかけ方が半端ないっていうね。
ハリウッド的かもしれませんね。
そうですね、だからそういった人達がやっぱりやってんだろうなっていう。だってね、Appleの発表会だって1時間半とか2時間ぐらいのムービーを作ってるわけじゃないですか。時間も相当かけてるでしょうし、あれぐらいやるとそれは世界的に売れるよなと。
お金のかけ方というか。1時間半のCMってないじゃないですか。でもみんながそれを見続けているわけですからね。次に何が出るんだろうっていう。今はねNintendo Directとかもそんな感じになっていますけれど。
そうですね、確かにそうか。そういう流れもあったりするから。
任天堂さんは家建てたりしないかもしれないですけど、開発者の方のコメントとかにわりと寄っていく感じだと思いますけど。
日本の企業でやってるの任天堂ぐらいしか思いつかない。
そうですね。多分リアルな発表会をオンライン配信してる ところはあると思うんですけど、あのスタイルは任天堂さんぐらいかな?CAPCOMさんもやってますね。
CAPCOMやってるんですね。
モンハンとかの配信みたいなのをやっているので、多分ゲームはあるのかもしれませんね。
もうAppleは完全なムービー作ってるし、Googleは生のプレゼン形式になってたりもするし。この間のSamsungも担当者が出てきて喋って映像を流してまた別の担当出てきた感じになってるので、企業によって見せ方が変わってきたって感じはあると思います。
あとはもうコロナ禍で大きく変わったっていうのもありますよね。映像で出さないと人が前に出てこれないっていうところで、情報を詰めていったらプレゼンするよりも映画作った方が早いねって。なんか伝わりやすいねってなっちゃったのかなと思います。
どっちがいいのかですよね。生でやられると緊張感もあってこっちも何かドキドキするわけですよ。やっぱりあれってデモとかやるとまあ失敗することが多々あるわけですよ。
昔ありましたよね。ジョブズのプレゼンで みんなにWi-Fi切ってくれってお願いしたっていう。動かないから。
要は、いろんな通信デバイスをプレゼンするじゃないですか。何かじゃあ映像見せますよとか、これと別のものをつないでやりますよって時は、リハーサルの時はうまくいってもやっぱり会場何百人っていう人たちがみんなスマホ持っていてWi-Fi・Bluetoothバンバン飛んでるので、やっぱり動かないっていう状態多々あるわけですよ。
っていう中で、この間のGoogle I/Oか何かで、Googleでメガネか何かの発表をやった時にはあの会場でバッチリ動いたんですよ。あれ見た瞬間にスゲーなって思って。っていう何か別の楽しみ方みたいな。
ちゃんと動いてる。
失敗しなかったっていう。
もうなんか現場の苦労がしのばれて若干胃が痛くなりそうな話ではありますね。今後も取材の裏話って皆さんあんまり聞くことないでしょうから、裏側に迫っていきたいと思います。
エンディングトーク
Mobile Tech Lab。そろそろお別れの時間となりました。石川さん、北さん、今日の放送いかがでしたか?
いや僕はもう、単純にいち視聴者みたいな気持ちで裏側を聞かせていただいて。ぜひ2回、3回とやっていきたいので、お願いします。
石川さん、いかがでしたか?
そうですね、まだまだいろんなネタはあったりもするので、どこかのタイミングでね、いろいろとしゃべれたらなと思いますね。
石川さんがどこまでしゃべってくれるのか なっていうことを思いながら、探り探り…。