石川温・弓月ひろみ・北真也がお届けする「モバテク」、2025年9月28日にBAYFM78で放送された第26回のアーカイブです。
iPhone 17とiPhone Airは物理SIMではなくeSIMのみ対応となったので、eSIMについて語りました。
目次
オープニングトーク
なんと番組が始まってもうすぐ半年ということなんですけれども、北さんどうですか?
やっぱり最初始まる前は、どんな感じで行くんだろうなと思ってたんですけど、なんか毎回盛り上がってて楽しいなって。純粋に毎回の収録が楽しいです。
石川さんいかがですか?
色々な話題を取り上げられて良かったなという感じがすごいします。やっぱり1年で最も盛り上がるiPhoneのタイミングでこの番組やれたっていうのも、非常に良かったなと思いますね。
わりとどこも扱わない、すごくマニアックな話もここではできているので、リスナーの皆様にもお楽しみいただけてるんじゃないかと思います。
iPhone全機種がeSIMになったのでeSIMについて解説
さて、この番組では最新のモバイルテクノロジーを学んでいくということで、私たちが持ち寄った今注目すべきモバイルテクノロジーをご紹介していきます。
本日のテーマは「eSIM」です。9月19日に発売となったiPhoneの新シリーズですけれども、今回全機種eSIMということで、まず「eSIMとは何なの?」というのを北さんに解説していただきましょう。
もともとSIMカードっていうのが携帯電話に刺さってて、電話をするときに携帯キャリアのSIMカードが端末に刺さってると、SIM認証って言って「この回線に繋いでいい人ですよ」っていうのをちゃんと認証するためにこのカードはこの人が購入していて、この人はうちのユーザーだからちゃんと繋いでいいですよっていう認証をするために使うものなんですね。
契約してますよっていうことですよね。
元々「SIMカード」っていうぐらいなんで物理的なカードだったんですけれども、あるときからQRコードを読んだらそのキャリアの回線が使えるようになりますっていう仕組みができました。
eSIMの「e」って「embedded」っていう意味で、すごい簡単に言うと、書き換え可能なSIMが携帯電話の中に入っていて、それに各社のプロファイルを読み込ませると、その会社のSIMとして動くようになるっていう仕組みです。
一番最初はIoTとかで使われ始めて、遠隔でこのIoT機器を使えるようにしますみたいな目的で使われだしたんですけど、それが気が付くといろんなスマートフォンとかにも入っていて、今では物理SIMとeSIMだったらeSIMの方が数が多いんじゃないかなっていうところまで来ていると思います。
今回日本国内で発売されるiPhoneはeSIMのみということでしたね。
流れ的にはそうなるだろうと思われていたんですよ。元々Appleって10年ぐらい前からiPadでeSIM採用するようになって、2〜3年前にはアメリカで売っているiPhoneは全てeSIM対応になって、どこかのタイミングで日本でもeSIMしか使えない機種が出るだろうと思われていました。
で、今回その発表があったらネット上ではめっちゃ「なんでeSIMしか使えないんだよ」っていう拒否反応の声が一気に上がってきたというところが、今回取り上げた背景にあるのかなという感じです。
で、Appleはなんで今回eSIM全機種対応したかというと、一つにはiPhone Airを出したいという時に、とにかく薄くしたいというのがあって、そういったスペースを確保するためにSIMカードのプラスチックのカードの部分をなくしたいと。
あそこにはカードも入ってるし、スロットと呼ばれるちょっとしたトレイが入ってるんで、ああいった部分をなくすことによってスペースができる。
さらに、それによって穴がなくなるので、そういった気密性も高まるってところもあったりもします。
一方でiPhone 17 ProとかiPhone 17 Pro Maxに関しては、バッテリーの時間を増やせるから物理SIMのトレイをなくしたんだよという言い方をしています。
無くすことによって動画が2時間長く見れますよという言い方をしてるんですけど、Appleってバッテリー容量のサイズを言わないので、そういう言い方になっちゃうんですけど、まあそういった理由でeSIMにしますよと言ったんですけども、ユーザーからすると「なんでだよ」「SIMカード使えるようにしろよ」みたいなことは言ってますね。
eSIMというものがなんかちょっと難しそうとか、目に見えないものなので「入れたら使える」ということじゃなくなるっていうのが怖いっていうのはあるのかもしれませんね。
ただ、じゃあSIMカードを抜き差しする人ってどれだけいるんですか?っていう。ショップでお願いしたら店員さんがやってくれる。しかもそれね、2年間3年間ずっとそのトレイは開けないでしょ、っていうところが一つあるかなと思います。
物理SIMカードとeSIMって私たちは認識してますけど、もしかしたら認識してない方も多分結構いらっしゃるんですよね。
そもそもSIMカードの存在を知らない人も多いと思うので。
まあ開けないですからね。結構海外に行く人で、そこの物理SIMを買って入れたいとか、あと2拠点で使いたいっていう人は多分乗せ替えをしてるでしょうけど、そういう方はeSIMにも詳しかったりしますからね。
たしかに海外旅行へ行って、現地のキャリアショップに行ってSIMカードを買うって結構楽しいことなんですよ。すごい分かります。私も昔よくやってました。
ただ、最近は各社のローミングサービスが充実していて、しかも料金プランによっては15日間海外で無料で使えますよ、といったサービスも出てきています。
さらに、eSIMの場合は現地に行かなくても日本であらかじめ現地で使えるeSIMを買えたりするわけです。
アクティベートもできますから。
海外のためにSIMカードのトレイがなくてもいいんじゃないの?っていう気もします。
割とSNSではこれがなくなったことによって買い控えが、みたいに言ってる方も何人かちらほら見たんですけど、そこまでは皆さんそんなに…。
絶対ないと思います。
一生買えなくなっちゃうので。
携帯ショップでのeSIM対応
ただ、もしかしたらショップの店員さんとかね。裏側ではトラブルシューティングが大変だったりするかもしれませんが。
そのためにキャリアではこの数ヶ月、eSIMを売りまくって練習してたんですって。どうやらiPhoneが9月、全機種eSIMになるらしいっていうので、店頭で機種変更をしている人に対して「プラスチックのSIMカードじゃなくてeSIMでしたいんですけど、いいですよね」って言って。それでお客さんにOKもらって、店員さんはeSIMの練習を一生懸命したと。
そんな特訓が秘密裏に行われていたとは。
実は行われていて、ちゃんと準備万端だというのもあります。
あと、例えばキャリアのオンラインストアで買うと宅急便でiPhoneが送られてきて、電源を入れるともう既に動き始めてて、勝手にSIMカード書き込まれたりするようになってるんですよね。プラスチックのSIMカードじゃないから故に、便利になってることはむちゃくちゃあると思います。
機種変更の時にもiPhoneだと楽ですよね。「eSIM転送しますか?」って言われるんで、「はい」ってやればそれだけでいいと。
というのに対応してるキャリアだったらいけるんですけど、対応してないと…
今のところ4社いけます。
MVNOとかがダメなんです。ダメなところといけるところがあって、やっぱり格安になればなるほどダメなことが多いです。
あと、物理カードからeSIMへの切り替えも実はiPhone上でできたりするっていう。これも割とご存じない方もいたりするんですけど、知らずに「eSIMに切り替えますか?」って言われて、なんとなく「はい」を押した人が「あれ?このカード要らなくなるの?」っていう。なんかそういう疑問も湧くかもしれませんけど、便利ですよね。
キャリアとの認証もSMSで飛ばしてくるようになると、eSIMが使えない状態、例えば削除しちゃいましたって状態になると詰んでしまうので、ショップに行かなきゃいけないということもありますが、それは本当にごくごく限られた例なのかなとも思います。
プロファイルとは何か
さっき北さんの解説に「プロファイル」という言葉がありましたけれども、このプロファイルって一体どういうものなんですか?
基本的にSIMカードに、その携帯会社で「このSIMはうちのSIMの番号ですよ」っていうユニークなIDみたいなのが振られてるんですよ。
「この携帯電話は繋いでいいです」みたいなのをまず携帯電話のキャリア側でも持っていて、書き込まれたその新しい「IMSI」っていう番号を突合することによって「あなたのこのSIMカードを繋いでいい人ですよ」っていう認証をかけるっていうことをやっているので、このドコモの回線かつこのIMSIの番号ですよみたいなのを書き込むことによって「私こんなものです」っていうのを電波が繋がった時に送ると、「あなたは繋いで大丈夫です」っていうネゴシエーションがうまくいくみたいな。
なんとなく「宿帳」じゃないですけど、リストみたいなものが本体の方にあって、それと照合して「いいですよ」っていうところを許可するためのものですかね。
そうですね。あらかじめそのQRコードを読むと、それを通過するための番号IDが取り込まれるみたいなイメージです。
プロファイルを「削除しますか?」「インストールしますか?」って言われて、なんとなく必要なんだろうなと思って皆さんやってたりすると思うんですけど、場合によってはこのプロファイル、他のキャリアのプロファイルがあることで新しいSIMを入れられなくなるみたいなトラブルもありますか?
eSIMは大丈夫なんですけれども、eSIMとは別のもう1個プロファイルっていうのがあるので、そっちの方が競合することはたまにあります。
MVNOとかはよく、MVNOのプロファイルを入れてると別のがつながらないってことはあったりしますけど、eSIMの場合は比較的ばんばん複数入れられるという感じで、オンオフして切り替えられるというのもあります。
だいぶeSIMって使いやすくなったと言いますか。昔は本当にQRコード読まなきゃいけないんだけど、そもそもそのQRコードがそのスマホに表示されてるから「どうやって読み込んだらいいんだ」とかってあったりしましたけど、最近は各キャリアでちゃんとアプリケーションがあって、「マイ何とか」ってアプリがあって、それに入っていれば簡単にそこから落とせるという仕組みになっているので、だいぶその辺が何年かかけて改善してきたというのがあると思いますね。
私は海外に行くことを考えると、日本で使っていたSIMを失くすことの方が怖くて。例えば物理SIMを取ってパスポートケースとかに入れておくんですけど、「あれ?どこ行ったんだろう」みたいに思うことがあるので。
物理SIMって失くしてしまうと大変なので、そう考えるとeSIMの方が安全だし、スマートだなっていう気がしますね。
本当だからeSIM反対派のアレが納得いかないですね。一回ディベートしたいなって気もする。
なぜeSIMに反対するのかっていうね。でも各社そうやってこのeSIM化に向けて、もしかしたらそうなるんじゃないかというところで努力をされてきている。
携帯電話会社も昔はeSIMは否定的だったんですよ。不正な契約されて乗っ取られるってケースもあったりとかしましたし。
つい最近も某キャリアで高校生が不正に契約してその回線を売り飛ばしてお小遣い稼ぎするとかあったりもしたので、キャリア側がちゃんとそういった本人確認をしっかりしないと狙われるケースは確かにある。
ただ、大分そこはしっかりセキュリティーは強化されていて、安心にもなってると思います。
povoに着いて
この番組でも電波が繋がらなくなった時のためにSIMを2つ運用するといいよみたいな話がありましたけど、eSIMはそれも簡単にできますね。
基本料金がいらないpovoみたいな回線をeSIMとして1個持っておくと、いざっていうときにはそれを使うのは便利ですよね。例えば月末でギガがなくなってしまった場合はpovoでデータを買うみたいなこともできたりもするので、そういった色々な回線を賢く使うっていうのにもeSIMは効いてくると思います。
でもpovoはすごくなんか独特の世界観ですよね。チケットを一緒に売ったりとか、食べ物の商品券みたいなのもありますよね。
多分マーケティングを裏でめっちゃ研究してるんだろうなと思っていて。povo自体は回線を売るんだけど、その回線の価値と同価値ぐらいの、例えばアイスクリームとかを付けることによってお客さんからするとタダでアイス食えてるみたいな。
povoは多分アイスクリーム屋さんからお金をもらって広告宣伝の一環でやってるから、ユーザーはタダで使えてる。povoはそこから広告費もらってるみたいな感じで、結構みんながラッキーみたいな、得したみたいな感じになるんで。
ああいうのがどんどんいっぱい出てくると、ユーザーとしても選択肢が広がるだけじゃなくて、ちょっとずつお得感がある携帯電話の使い方というか、回線の使い方ができるのかなという。
特にpovoの場合はデータのeSIMだと本人確認もそんなに難しくないっていうのもありますし、そういうところで一人5回線まででしたっけね。増やしていけたりするので、我々のような端末たくさん持ってる人にとってはいいですね。
本人確認が緩いので、自分が一回契約した時に誕生日も間違えてたらしくて、そのまま契約通っちゃったんですよね。回線オープンしちゃったんですよ。
この回線やめたいなと思った時に本人確認を誕生日でやるんですけど、その誕生日が合ってないんですよ、自分の本物を入れても。もうずっと解約できないみたいな感じになってたりして。だから本人確認緩いのもどうなのかなって気は最近しました。
そこはね、さっきお話にも出た高校生の事件みたいなこともあるかもしれないので、ちゃんとしてほしいなというのはありますね。
でもeSIMになったことでどんどん便利になると思うので、ぜひ番組聞いてる皆さんもあんまり臆せずにいてほしいなと。
是非eSIMを使ってもらいたいですね。
エンディング
Mobile Tech Lab。そろそろお別れの時間となりました。石川さん北さん、今日の放送いかがでしたでしょうか?
eSIMの話ができて楽しかったというのもあるんですけれども、本人確認の話が出てきたじゃないですか。
同じようなちょっとキーワードなんですけど「eKYC」ってのがあって、本人確認を全部オンラインでできるようにしましょうという仕組みなんですけど、それが出てきてすごい回線開設が楽になりましたみたいな話があるので、法律だったりとか、eKYCがいらないパターンがさっきのデータSIMなんですけど、何が違うのかっていうところをちょっと一回掘り下げたいなと。
これはちょっと是非次回掘り下げたいテーマですね。石川さん、いかがでしたか?
そうですね。本人確認で言うとね、今iPhoneにマイナンバーカードが入ってたりもするので、さらに簡単にしっかりと本人確認できるようになってるところもあるので、そういったものを賢く使えるといいかなと思うのでね。一回深堀りしたいなと思いますね。
安全かつ便利に使えるような、ぜひ色々な話をしていきたいですね。
