災害時のスマホ!JAPANローミングとStarlinkについて解説します!|モバテク vol.054

石川温・弓月ひろみ・北真也がお届けする「モバテク」。2026年4月12日に放送された第54回のアーカイブです。

「災害時のスマホ」をテーマにJAPANローミングについての解説と、Starlinkについても話しました。

オープニング

こんばんは、番組パーソナリティの弓月ひろみです。Mobile Tech Lab。この番組は最新のモバイルテクノロジーを学びながら、これからの生活をちょっと豊かにできたらという番組です。皆さんもこんな未来になったらいいなを一緒に考えていきましょう。そして今夜も私と一緒に番組を進めてくださるのはこのお二人です。

こんばんは、スマホケータイジャーナリストの石川温です。

こんばんは、INNOMO代表の北真也です。

お二人ともよろしくお願いいたします。春も少し過ぎまして4月半ばですけれども、今回から24時になりましたので、皆さんどうぞよろしくお願いいたします。

そして陽気の良くなる頃ですが、皆さんはインドア・アウトドアどちらですか?

この時期はさすがに、外にフラフラ遊びにいくアウトドア派になりがちです。

北さんはキャンプをやられるんで。

そうですね。この時期、最高ですね。

いいですよね。石川さんはインドア・アウトドアどちらですか?

基本インドアではありますが、ただやっぱりこのタイミングで散歩とかしておかないと、どんどん暑くなっていって外に出るのが大変なので、このタイミングで外へ出なきゃなと思ってますね。

日本の夏は暑いですからね。私はスマホのカメラでフォトウォークを、この時期はしてみたいなと思います。

JAPANローミング

さてこの番組では最新のモバイルテクノロジーを学んでいくということで、私たちが持ち寄った今注目すべきモバイルテクノロジーをご紹介していきます。

本日のテーマは「災害時のスマホ」です。まず石川さんにお聞きしたいんですけれども、最近JAPANローミングというサービスの発表がありました。これはどういったものなんでしょうか?

今回、ドコモ・KDDI・沖縄セルラー・ソフトバンク・楽天モバイルという5社で、5社間のネットワークを相互に利用できるサービスとして、JAPANローミングをこの4月1日から開始しました。

きっかけになったのは、2022年7月にKDDI・auのネットワークで大規模通信障害が発生して、数日間使えなかったことです。ああいったことがあったので、いざという時にauが使えなくなったら、ドコモやソフトバンクや楽天など他社のネットワークにつながるようにしたらいいんじゃないのかな、みたいな話になったんですよ。

その時、私もメディアで「ローミングとかできたらめっちゃ便利なんじゃないの?」と軽く言ったんですけど、総務省的にはそれをやるべきだという話になって、いろんな関係者を集めて議論が始まりました。

ただ、そこで問題になったのが緊急通報です。110番や119番は、万が一途中で切れた場合に警察側や消防側から折り返せるようにしなきゃいけない決まりがあるんですが、ローミングをやるとそれが難しくなる。そこでずっと議論や調整が続いて、やっと実現する仕組みになっています。

方式としては2つあって、1つはフルローミング方式です。音声通話・SMS・データ通信のすべてを他社でも利用できるようになりますが、通信速度は最大300kbpsです。もう1つは緊急通報のみ方式で、設備の都合でフルローミングが難しい場合でも、110番・119番・118番だけは他社回線でもつながるようになります。

なので今後、大災害で一部の携帯電話がつながらなくなるとか、auの時のような大規模通信障害が起きた場合にも、そのユーザーは他社のネットワークを使えるようになる。そういう仕組みが始まったという感じです。

これは、いざという時のために各社が手を取り合って、ユーザーのために公平な利益を出していこうというところがスタートということですね。

そうですね。例えばつながらなくなった時に、命の危険にさらされる人がいっぱいいるじゃないですか。そういう時に、じゃあ救急車を呼びたいとなった時には、最低でも緊急通話だけは対応するようにする。そういうところで各社が手を取り合って導入したという感じですね。

JAPANローミングの仕組みについて

北さん、この「フルローミング」というお話が出ましたけれども、ローミングと聞くと海外に行った時に使うものかなと思います。これは国内で使うのはどういった仕組みになるんですか?

これも基本的な仕組みは一緒です。正直、ちょっとびっくりしている技術ではあるんですね。どうやっていろんな会社を選んでつながせているかというところについては、ちょっと正直わからないところがあるんですが、やってることはローミングなので、基本的には他社の基地局を使って、その携帯端末を自社の交換機と呼ばれる装置につながせに行く、ということになります。

そこは海外だろうと国内だろうと変わらないですし、国内でも知らないところでこういう国内ローミングは今までいくつかやってきました。なので、すごく新しい技術ではないんですけれども、今回これを4社とか5社とかで提携してやるのは、かなり大きい話です。

多分、つながるところを選んで手動で行かせてるんじゃないかなという気がしていて、勝手にここに繋ぎに行くのを自動で選択する、しかも常に複数社とつながってる状態というのは多分作れないはずなんですね。

自分がソフトバンクを契約してるのに、他とも常に繋がってるというのは作れないはず。

そうなんですよ。普通は「一対一」で、ローミングの契約を結んでる会社同士で使わせる形になるんですけど、今回は「多対多」になるので、それをどのようにやってるのかっていうのは、すごく興味深いところではあるなと思います。

じゃあ、ネットワークの専門家としても、「あ、こんなことができるんだ」っていう驚きがあるということですね。

おそらく相互にメッシュでつなぎ合ってるんだとは思うんですけど、あまり国外でも国内でも見たことのないタイプのローミングの形かなと思います。

石川さん、300kbpsという話でしたけど、この通信料って誰が負担することになるんですか?

それは実際にauが落ちましたよって時には、auが他社に対して接続料という形で払うようになります。じゃあそれをユーザーから取るってことは多分しないと思うので、裏ではそういったやり取りが発生するだろうというところです。

なんで300kbpsという遅い速度かというと、例えばauがボンッと落ちましたって時に、一斉にドコモのネットワークに繋ぎに行くと、ドコモのネットワークもパンクするわけですよ。それをソフトバンクや楽天に分散するとしても、いきなり他社のネットワークにドカンと人が移っちゃうと、やっぱりパンクする可能性がある。なので通信速度は抑えてるという感じですね。

これは例えば災害時であったりとか、緊急性の高い時に開放されるものなんですか?それとも緊急性がなくても、人がたくさんいて繋がらないみたいな時も使える機能なんですか?

あくまで災害とかでネットワークが落ちてしまった時、通信障害で落ちてしまった時というところなので、平時ではこういったことにはならないという感じです。

ただ、市町村単位で管理していくって話をしているので、台風でこのエリアが全然つながらなくなっちゃいましたという時には、そこの対応をする形になると思います。

災害時のエリアメール・緊急地震速報

でも、その災害時のスマホというふうに考えると、つながる・つながらないもそうですが、緊急地震速報であったりとか、台風が近づいてきた時のエリアメールというものがあります。あれはどういった仕組みになってるんでしょうか?

まず端末がそのエリアに入りましたっていう時に、「在圏する」って言うんですけど、その時に位置登録というのをやるんですね。そうすると、このユーザーはこの基地局、このセルをつかんでますよっていうのを上側の装置に上げることをやります。

このエリアの中にいますよっていうお知らせが行く。

そうです。その情報を契機にして、このユーザーはここにいるから、この基地局が構成しているエリアに対してメールを送るぞっていうのを上からやる。その時に、そこに在圏してる人に一斉にバンッと送るのがエリアメールなんです。

なので基本的には、一人一人に送るというより、位置登録ができている端末が在圏している基地局のエリアめがけてメールを投げつけるようなイメージだと思っていただくといいかなと思います。

私たちも地震が多い中で、緊急地震速報が鳴った時に「あ、本当にすぐ来るんだな」っていう、この信頼性の高さを感じます。この仕組みができたのはいつ頃でしたか?

緊急地震速報自体は、東日本大震災の前、2007年頃には導入されているので、2011年以降いろいろ震災がありましたけども、その時にも機能したという感じだと思います。

耳に残る音なので、その時のトラウマを思い出したりする方もいるとは思いますけれども、すごく正確なので、それが鳴ったら注意しようとか、ちゃんと隠れようっていう意識が働くようになりましたね。

ちなみに、エリアメールと地震速報って違う技術かというと、技術的には一緒なんですけど規格が違って、地震速報の方が数秒早く届く仕組みになっています。「セルブロードキャスト」っていうんですけど、それ以外のエリアメールとはちょっとだけ違うんです。

どちらかというと緊急性が高いから、優先されるっていうことですか?

そうですね。かつ、エリアメールとは違って届いた時に別の動作をさせる、鳴動させるとかっていうのがあって、それは飛んでくるパケットのビットを見て、このビットが立ってる時にはこれは地震速報だから音を鳴らすぞっていうのを、端末側で制御してるっていう形になります。

本当に我々を取り巻く環境の中で、スマートフォンはインフラというか、なくてはならないものでライフラインにもなるものなので、そこへの安全対策や通知というのは非常に大事になっているかなと思いますね。

緊急時のStarlink

今年で言うと、今KDDIがStarlink Directと言って、衛星とスマートフォンの直接通信を実現してるんですけど、今年のタイミングでドコモとソフトバンクもStarlink Directを始めるんですね。なので万が一、大震災とかが起きて周りの基地局がバタバタ倒れたら、衛星につなぐっていうのも一つの方法としてできてくるんですよ。

じゃあJAPANローミングいらないじゃんっていう指摘もあるんですけど、ただ衛星とつながったとしても、データ通信はできても一部のアプリに限定される。メッセージはできるけど、電話はできないし、緊急通報もかけられないっていうところもあるので、やはりJAPANローミングみたいな仕組みはあった方がいいんです。

あとStarlinkは非常によくできた仕組みですけど、じゃあイーロン・マスクにいざという時に頼っていいのかっていう話もあります。

急に辞めるぞって言いかねないっていうところがありますから。

だから衛星サービスを1個だけに頼るっていうのはどうなんだっていう議論はずっとあって、じゃあStarlinkに対抗できる衛星サービスを今から日本で作れるかって言ったら、それは不可能なんですよ。

そう考えると、Starlinkがありつつも一方でJAPANローミングがあって、いざという時にはどっちか使える。そういう仕組みを作っておくことが重要だなというところですし、あえてここで日本のキャリアが集まってやったことによって、日本人のため、日本の国民を救うためのネットワークとしてJAPANローミングは意味があると思います。

本来であれば稼働しない方がいいんですけども、どこかのタイミングでちゃんと稼働して、安心して使えるようになるといいかなっていう感じですね。

キャリアの垣根を超えた連携

これまでに、そうしたキャリア各社が集まって、こうした会議をされたり発表会をされるっていうことはあったんですか?

だいぶ最近になって増えてきました。ちょっと前の石川県の地震もそうですけど、やはり効率が今まで悪かったというか。みんなバラバラで被災地に行ってそこでネットワークを復旧していくって意外と効率が悪かったりもするので。

最近では、ある程度被災地が分かってきたらエリアを分担して、じゃあドコモはこっちの避難所、KDDIはあっち、ソフトバンクはあっち、楽天はあっち、というふうに分けることによって、広く満遍なく復旧作業をすることをやっています。

いろいろと震災とか大震災とかある中で、その4社・5社での協力体制がだいぶ増えてきたという感じだと思います。

災害時の連絡手段

その先ほどのStarlinkの話で、アプリが限定されるっていうのもありましたけど、家族と連絡を取っているアプリが使えなくなってしまったら、それはそれでもう分からなくなっちゃいますもんね。

いざという時に災害伝言板みたいなのもありますけど、何で連絡を取るのかっていうのは普段から決めておくといいんじゃないのかなと思いますね。

2011年3月11日の頃は、現在のX、当時のTwitterでいろんな人と連絡を取ったなと思ったんですが、あの頃はまだLINEは登場してないんですよね。

そうですね。LINEは東日本大震災の経験があって、つながらないよねっていうところから開発が進んだものなので、当時はX、当時のTwitterがメインだったりもしました。

あと先日の3月11日のタイミングで昔を思い出すような話題があったんですけど、2011年の頃、一番つながったのは実はPHSで、PHSユーザーがめっちゃ減っていて誰も使ってないような状態だったので、どこかに電話をかけたい時にはPHSが一番つながったっていうのは、昔話としてよく出てきますね。

そこはもう空いてたからつながったということなんですね。やっぱり未曾有のことで、みんながいろんなところに連絡をしたい、つながっていたいというところがあったと思うので、急にいろんなところに連絡した方は多かったでしょうしね。

じゃあこのタイミングで、例えば大きな地震が起きて、LINEが本当につながるかっていうのはまだ分かんないじゃないですか。これだけLINEのユーザーが増えていて、みんなが使っているっていう中で、一斉に使い始めるとLINEももしかすると落ちるかもしれない。なので、大切な人とは複数の連絡手段を持っておくということが大事だと思います。

何がいいですかね? メッセージアプリとか、+メッセージとかWeChatとかWhatsAppとかいろいろありますけど、本当に一つのところに依存してしまうと、そこが使えなくなった時に困りますし、バックアップを取っておくのは大事ですね。

どれが完璧だっていうのは一概には言えないので、単に大切な人とLINEとしかつながってないっていうのは危険なことだったりもします。電話番号・SMSでつながっておくことも大事だと思うし、別のSNSでつながっておくことも大切だと思うので、複数のルートを持っておくことが一番だと思います。

私、結構LINEでつながっている友達の電話番号を知らないっていうのがあって、5〜6年経ってから「あれ? 電話番号知らないな」って思って、ついメッセージアプリで電話をかけてしまったりもします。

でも例えば、公衆電話からかけなきゃいけないとか、自分のスマートフォンじゃないところからかけなきゃいけない、みたいなこともあるわけなので、電話番号は知っておいた方がいいですね。

いざという時のために知っておいた方がいいと思いますね。

北さんは普段、ご家族とは何で連絡を取られてますか?

LINEが多いんですが、LINEがつながらへん時に電話がかかってきます。

やっぱり電話は、しっかりしてますね。

時々LINEって鳴らなかったりする。やっぱりアプリなので挙動が確実にはならないんですけど、電話って絶対に鳴るので。

じゃあ皆さんも、バックアップに電話番号を控えようというのを気をつけていきたいと思います。

エンディング

Mobile Tech Lab。そろそろお別れの時間となりました。石川さん、北さん、今日の放送いかがでしたか?

JAPANローミングができて良かったなっていう感じですけども、一方でJAPANローミングが稼働しない、平和な毎日を過ごせることの方が重要なので、使ってみたいなと思いつつ、使う日が来ない方がいいなと思いますね。

本当にそうですね。北さん、いかがでしたか?

やっぱり災害っていつ起こるかわかんないんで、常々備えておくというのが大事だなと思ったんで、ちょっとLINEでしかつながってない人と、まずは電話番号を交換するところからやってみようと思いました。

ラジオで流した楽曲

Smile / BUMP OF CHICKEN

花は咲く