スマホと衛星の直接通信!ソフトバンクとドコモも始めたStarlinkについて詳しく解説!|モバテク vol.060

石川温・弓月ひろみ・北真也がお届けする「モバテク」。2026年5月24日に放送された第60回のアーカイブです。

2026年4月からソフトバンクとドコモもStarlinkを開始したので改めて解説しました。

動画をご覧いただくとわかるのですが、この日は北真也さんはZoomでの参加でした。

オープニング

さて今の時期になると飲み物はアイスなの?ホットなの?って迷うことが多いんですけど、石川さんはお仕事のお供に飲むものって何かありますか?

そうですね。あんまり仕事のお供で何かこれを飲むっていうのは正直決めてないんですけど、もう仕事しないぞっていう時にアルコールを飲むと言いますか、アルコールを飲んだらもう今日の仕事は終了っていうのは明確に決めてます。やっぱり原稿書く仕事なので。

昔本当に、雑誌の記者時代の先輩とかは、平気で夜に会社のオフィスの編集部でビール飲みながら原稿書いてる人がいっぱいいたんですけど。

酔拳みたいな。

いっぱいいたんですけどあれはよくないなと思って。自分としてはアルコールの時はちゃんとやめるっていう感じです。

メリハリをつけると、北さん何かありますか?飲み物。

私は普段コーヒーを傍に置いて、ずっとコーヒーを飲み続けてます。

気にせずカフェインを取っていくスタイル。

そうですね。多分、1日の致死量くらい飲んでる気がします。

私もすごく、何種類も飲んじゃいます。アイスコーヒーとホットコーヒーとカフェラテを並べて飲む、みたいなこともありますけど、コーヒーは結構大事ですよね。

はい、大事です。

スマホと衛星の直接通信

さてこの番組では最新のモバイルテクノロジーを学んでいくということで、私たちが持ち寄った今注目すべきモバイルテクノロジーをご紹介していきます。本日のテーマを石川さんお願いします。

「スマホと衛星の直接通信」ということでお届けしたいと思います。

何度か衛星を使った通信だったりとか、NTNやStarlinkのお話もありましたが、今日はどんなお話ですか?

そうですね。やはりこのタイミングで、サービスが本格的にスタートしているというところなので、改めてどういったものなのかというところをご紹介したいなと思います。

先月4月ですけども、ソフトバンクとさらにはNTTドコモが、Starlink Directといったサービスを始めました。これによって去年からサービスを始めているKDDIに次いで、相次いで2社が参入して3社体制になったというところですので、多くの人が衛星とスマホとの直接通信ができるようになったというところがあります。

これは我々ユーザーとしてはつながり方が違うのか、スピードが違うのか、めちゃめちゃ音が良くなるのか、つながらないところでもつながるのかとか、どんなメリットがあるんでしょうか?

まず圏外のところでもスマホが使えるようになるというところがあります。ただ当然、これスマートフォンと300km以上飛んでいるところの衛星が直接通信をするので、空が見えているというところが条件になります。

例えば森の中にいたりすると木が邪魔したりしているので、つながらないこともあるんですけども、ですので開けた状態、空がよく見える状態でつながるというところになっています。

ただこれ通常の圏内、つながってるところと同じかというとそうではなくて、基本的にはメッセージとデータ通信しかできません。しかもデータ通信も限られたアプリのみ、衛星通信に対応したアプリのみが対応になっているというところになっているので、圏外で電波がつながらない山に行き、YouTubeをガンガン観るということはできないと。

あくまで、今CMとかでやってますけど、「お誕生日おめでとう」とか、そのタイミングで送るかわかんないですけどメッセージを送るとか、ちょっとLINEで「今こんなところにいますよ」というような連絡をするというような使い方になります。

Wi-Fi下でLINE同士で電話するとかそんなイメージで、電話がつながるというよりは、電話番号ではなくてそれ以外の限られたアプリが使えるということですね。

そうですね。電話ってねリアルタイムに通話するので、まだ衛星では厳しいという感じになってます。なので電話以外のメッセージアプリですとか、あとSNSアプリですとか、あと地図アプリとか、そういったものが使えるという感じですね。

でもこの地図アプリが使えるというのは心強いですよね。例えば山に行った時とか。

そうですね。山で遭難してしまうとかっていう時には地図アプリ使えたりもするので、それによって場所とか、どこへ行ったらいいのかというのが分かったりもしますし、例えば山道を走ってる時にスマホのカーナビアプリだったらつながらないというところでも、位置情報とデータ通信ができるので、かなり深い山道でもずっと道案内してくれるということが可能になってますね。

スマホと衛星の直接通信で使われている技術

先ほどスマホと衛星の直接通信という話がありましたが、北さんこれはどんな技術なんですか?

Direct to Cellという言い方をしたりするんですけども、従来の衛星との一番大きな違いがあります。

元々衛星電話ってのがあったんですけど、それは衛星と専用の携帯電話が通信をして、上りと言って、電話機から衛星につながって、衛星から先っていうのは地上局と呼ばれるところに、一回専用のでっかいパラボラアンテナに通信を落として、そこから有線接続をするっていうような接続形態だったんです。

そういう地上局を必要とせずに、必要とせずと言うと嘘になるんですけども、衛星間通信で通信を飛ばし合って、ユーザーの携帯電話とは衛星と直接通信をする。それが他の基地局とつながる、普通の携帯電話がつながるようになるっていうのが一番大きな違いで。

それから先ほど言ったような地上局みたいなものを必ず経由して通信をする形ではなくなってきたっていうのが、一番大きな違いかなというふうに思います。

じゃあこれまでは取り次ぎ的な存在がいたのが、直接私たちが持っているスマートフォンと衛星がつながっているということですか?

昔、衛星電話っていうのがあったんですけど、それというのは地上から3万6000kmぐらい上にある止まっている静止衛星につながってそれで地上局に降りてくるんですよ。

今やってるStarlinkっていうのは大体360kmぐらいなので、そもそも地上から近いっていうのがあって。

さらに大量の衛星。今だと600個以上の衛星が飛んでいて、その衛星間でも通信しています。

なので、ちょっと離れた場所の地上局にも落としやすいと言いますか、衛星同士でさらに通信を行って、地上局に落としているということをしているので、非常に速度も速くデータ通信もできるんだけど、音声通話はちょっとまだ苦手という感じだと思います。

Starlinkを各社がこのタイミングで始めた理由

このタイミングで各社が同時にスタートしているというのは、何か理由があるんですか?

元々衛星でデータ通信やりましょうっていうのは、楽天が仲の良いASTって会社がやるって言ってたんですけど、そこにStarlinkっていうイーロンマスクさんがやっている会社、彼らってもう普通の大きなアンテナ向けの衛星通信サービスって6000から1万ぐらい衛星飛ばしていて、もうめちゃくちゃ技術を持ってるんですよ。

彼らがじゃ次はスマホやるって言い始めたら、トントン拍子に進んでいって、アメリカではT-Mobileというキャリア、日本ではau・KDDIがタッグを組んでやったというのが去年の段階です。

で、どうやらこのKDDIはStarlinkと、1年間独占的に扱わせてくれっていう契約があったようなんですよ。

先行してKDDIは一年。

なので去年1年間ずっと「auはStarlinkだ」って言いまくっていたと。で、ドコモとソフトバンクはだんまり、多分言うなって言われてるから。

契約ですからね。

っていうのが去年の8月ぐらいに「うちらも衛星やりますよ」って2社ね、ドコモとソフトバンク。だけど「どこと組むかは言えません」っていう話をし始めてたんですよ。

で、この4月になって、ドコモとソフトバンクもStarlinkでやりますよって言い始めたのは、おそらくKDDIとSpaceXとのその1年間の契約が切れたので、晴れてドコモとソフトバンクも言えるようになった、サービスを開始したというのが裏事情なのかなと思います。

それで行くとKDDIは目の付けどころが早かったというか、先手を打って動いていたということですかね?

ただやっぱりそれも、ソフトバンクとドコモはHAPSっていう飛行機を飛ばす技術を結構前段階からやるやるって言ってて、「KDDIどうすんだよ」みたいな感じだったんですよ。ちょっとその点では遅れていたというところで。

しかも当時の高橋社長はHAPSのことをめっちゃ否定してたんですけど、どこかのタイミングで考えを変えたらしくて、SpaceXと組んだら早くサービス始められるというので、先手を打ってKDDIはSpaceXと組んで、去年からサービス始めたという感じですね。

HAPSの方がちょっと技術的には難しいことが多いということですか?

そうですね。やっぱりHAPSってまだこれからの技術だったりもしますし、赤道に近い太陽光がよく当たる場所だと、あれってソーラーの電力を使ってるんでぐるぐる飛ぶんですけど、日本みたいに赤道からちょっと離れてる場所で飛ばそうと思うと結構厳しいかなというところがあります。

ただSpaceXみたいに本当に何百個という衛星が地球の周りをぐるぐる回ってると、日本でもサービスをすぐ提供できるし、アメリカでもサービス提供できるし、世界中でサービス提供できるということもあるので、やりやすいという感じですね。

なるほど。北さんこのStarlinkの登場というのは、本当に急にという感じだったんでしょうか?

急にということは実はなくて、Starlink自体をやるぞっていうのは、結構イーロンも早い段階から言っていたっていうのと、その前に気球を飛ばしてどこでもつながるようにしましょうというのは、Facebookが確か言い始めた時代があって。

これからは宇宙だ空だっていうのは、6Gが出始めるぞっていう話が出始めたところから、割と早い段階で次は衛星だってのは言われてたというところで、それを先駆けてStarlinkがどんどん飛ばしちゃって、まずは独自のブロードバンドサービスを始めて、足場をしっかり固めていったというところがあるので、やっぱりイーロンの先見の明は素晴らしいなというところかなと思います。

あとはもう既に衛星をたくさん持っていたっていうところも、やっぱり強いですよね。

まあやはり、安くいっぱい衛星を飛ばせる技術っていうのは、SpaceXすごいなという感じです。もう毎週のようにバカスカ飛ばしているので、それがコスト的にも安くなるし、それでビジネスを回しやすいっていうのもあったりもするので。

ああいったことをやられちゃうと、日本がこれから衛星で追いつき追い越せっていうのは、なかなか難しいかなって感じですね。

Starlinkによるユーザーのメリット

ただこのユーザーという目線で考えると、どんどんつながりやすいところが増えて便利にはなるんですよね?

そうですね。やはり圏外がなくなるというところというのは非常に便利になりますし、しかも今までですと、オプションサービスとしてお金取りますよっていう発想だったんですけど、衛星通信に関して言うと、ほぼみなさんが使えるような状態になっているというところがあります。

ドコモでいえばahamoの料金プランでも使えますし、ソフトバンクだったらY!mobile、KDDIだったらUQ mobileでも標準的に使えるので、いざ山で遭難したら、「オプション契約してなくて使えなかったわ」ってことはないというか。

それは良心としてというか、みんなインフラとしてそこは整えていこうという。

そこはホントみんな頑張ったな、キャリア頑張ったなというところもあります。

あとソフトバンクがStarlinkを始める前に、LINEを一人でがめるんじゃないのかなってちょっと心配してたんですよ。LINEってソフトバンクグループなので、ソフトバンクのユーザーだけLINEを衛星で使えるとなると、それはどうなのよと。これだけ社会的なインフラとして普及してるのでどうなのよって思ってたんですけど、ちゃんとドコモのユーザーでもauのユーザーでもStarlink DirectでLINEが使えるようになったので、それはそれでよかったかなという感じですね。

衛星通信の海外での利用

ちなみにこの衛星通信の切り替えというか、例えば日本から海外に行ったときに、衛星通信を使うっていうことになると、これは金額的にはどういう組み方になるんでしょうか?

そこのオプション料金ってのも今は発生してないです。ただ海外で使えるキャリア今のところKDDIだけなので、KDDI契約している人はアメリカとかカナダとか、その辺では使えるという感じですね。

じゃあ国立公園に行ったり砂漠とかに行っても、そこからお誕生日メッセージを送れるという。

そうですね。やはり日本にいるとあんまり圏外で困ったことってないと思うんですよ。そういう中で、アメリカの国立公園とか、砂漠とかあとね、ずっとハイウェイ走ってると、つながらなくなったりもするので、本来はアメリカとかカナダとかでね、非常に重要になるサービスなんだろうなと思いますね。

Appleの衛星通信との違い

北さん技術的なところでおさらいになるかもしれませんが、Appleがずっと言っていた衛星で電話ができますよとか、電話が通じないところでも使えますよと言っていた衛星とはどう違うんでしょうか?

技術的には同じものであるとお考えいただいていいのかなと思います。携帯電話と直接通信しているということに関しては変わらないので。

ただ何と言いますか、速度が全然違うと言いますか。なのでやっぱり今のStarlink Directの方が多分速度で言うと、10倍100倍の世界で多分速いはずなので、それなりにちゃんと、ブロードバンドまではいかないけど快適に使える。

Appleのものは緊急の時にメッセージだけ送れるっていうところに絞ってやっている低帯域のサービスなので、そこが一番大きな違いなんですけど、技術的にやっている衛星としてのダイレクト通信という意味では変わらないかなと思います。

じゃあ本当にAppleは何か不測の事態が起こった時に、これも使えますよという形で、今回のStarlinkとかのことに考えると、ナビゲーションにも使えるよとか、もうちょっと普段使いができるってことですね。

そうですね。ただAppleに関して言うと、Amazonが衛星サービスを提供してる会社に出資したので、それによってAmazonも元々自分たちで準備してましたけども、既にApple向けに提供している会社にかなりコミットしているので、今後さらにサービス進化するでしょう。

AppleもAmazonがそういった会社に出資することは歓迎していて、そういった衛星会社とAmazonとAppleという関係性で、もっとiPhoneの標準機能としての衛星通信サービスも今後進化していくという可能性があると思います。

衛星通信ビジネスの難しさ

今後ビジネスとしてはこの宇宙のネットワークは、例えばさらにスピードが速くなっていくとか、誰でももっと自由に使えるようになっていくとか、どんな未来になるんでしょう。

ただこれ難しいのが、いや儲からないよねっていうところに尽きるんですよ。

なるほど。

結局だから国内3社は無料でサービス提供しているじゃないですか。だからあんま儲からないわけですよ。しかも3社同じサービスってことは、さほど差別化できない。これでお客さんが取れるもんでもないというところもあるし、Appleもサービスを始めた当初は、2年間は無料だけどっていう言い方をしてましたけど、その後有料化するっていう話も一切聞かないので。

無料にせざるを得ない感じになってきちゃいましたね。

ってなるとじゃあこれってこの先、投資できるのかいな?とか。新サービス載せられるのかっていうと、結構どうなんだろうみたいな。

しかもこういった限られた人しか使わないサービスで、2社も3社も提供していたら、それはビジネスとして回らないよねって感じだったりするので、こういった宇宙ビジネスの課題っていうのは、「どうやって儲けるのよ」というところが一つ課題かと思います。ただ…。

ただ。

auが始めた独自サービス

これ国内3社、ドコモ・au・ソフトバンクでStarlinkを始めました、っていう時に、KDDIとしては1年間先行してるので負けられないってことで、先日新たなサービスを発表しています。

一つがSOSセンターって言って、圏外にいる人が助けを求められるようなセンターを作ったのが一つと、あとIoT向けのサービスを強化するという話をしていて、例えば今山でクマが出没するとか、山火事になるとかっていう時に、そういった何か起きた時にセンサーが反応していち早くStarlink Direct経由で知らせてくれるっていう仕組みを作ってたりもするので、KDDIとしてはIoTで儲ける、そういった法人向けに山とかの危険を知らせるために、衛星を使うというふうに舵を切ったという感じです。

じゃあ各社今後はどうやってそれを組み合わせてプランにして、優位性を作っていくかっていうところがウォッチする対象ということですね。

注目だと思います。

エンディング

Mobile Tech Lab、そろそろお別れの時間となりました。石川さん、北さん、今日の放送いかがでしたか?

このような形(Zoom)でオンラインでラジオ収録に参加できるって、いい時代になったなと。通信の進化に感謝しかございません。

これも通信の進化ですよね。石川さんはいかがでしたか?

そうですね。補足としてあるのが、楽天も年内に衛星サービスを始めると。しかも最強衛星サービスというふうに言ってたりもするので、先行する3社をどう超えてくるのかというところは注目なのかなと思います。

その辺りもリスナーとしてはぜひ気をつけてウォッチしてみてください。

ラジオで流した楽曲

衛星 / 赤い公園

Star / 星野源