石川温・弓月ひろみ・北真也がお届けする「モバテク」。2026年7月12日に放送された第67回のアーカイブです。
山根博士をゲストにお迎えし、モバテク祭りでリスナーさんからいただいた「ポストスマホ」というお題をテーマに話しました。
目次
オープニング
こんばんは、番組パーソナリティの弓月ひろみです。Mobile Tech Lab。この番組は最新のモバイルテクノロジーを学びながら、これからの生活をちょっと豊かにできたらという番組です。みなさんもこんな未来になったらいいなを一緒に考えていきましょう。
そして今夜も私と一緒に番組を進めてくださるのはこのお二人です。
こんばんは、スマホケータイジャーナリストの石川温です。
こんばんは、INNOMO代表の北真也です。
そして今日のゲストは、香港在住の携帯電話研究家、山根康宏さんです。よろしくお願いします。
山根です。こんにちは。
博士、久々の登場ということですけども。
多分そうだと思います。
ありがとうございます。今日もいろいろとお話を伺っていければと思います。
ポストスマホは何になるのか
さてこの番組では最新のモバイルテクノロジーを学んでいくということで、私たちが持ち寄った今注目すべきモバイルテクノロジーをご紹介していくのですが、本日のテーマは「ポストスマホ」です。
このテーマは、5月に開催されたモバテク祭りの公開収録で、リスナーの方からお寄せいただいたものになります。
スマホネタという感じですけれども、今日はポストスマホということで、スマホの先はどうなるかというお話をしていきたいと思います。山根さん、いかがですか?5年後にスマホはありますか?
スマホそのものはなくならないと私は思っていますが、スマホがなくても済むようには、どんどんなっていく気がしますよね。やっぱり急激にAIが進んだことで、本当に情報が簡単にテキスト化・映像化されるというか。
しかも、今まではスマートフォンのような大きい画面を持っていなければ見られなかったものが、ぶっちゃけスマートメガネ・スマートグラスがあれば、ある程度のことができてしまうような感じになってきています。
とはいえ、映画を見るのはどうかというと、スマートグラスのディスプレイでは小さい。あれにARグラスを合体させればいいんじゃないかと思うんですけど、そうなると結局、その映像をどこから送り込むかというと、やっぱりスマートフォンが必要だったりする。スマートフォンそのものが5年ぐらいでなくなるとは思わないんですよね。
石川さんいかがですか?
そうですね。やはり中心にあるデバイスとして、スマートフォンは残り続けるのかなと思います。おそらくスマートグラスやスマートワイヤレスイヤホンなど、いろんなものが進化していくんですけど、どうしてもバッテリーや通信の問題があるので、とりあえずスマートフォン的なデバイスに一度集約するという形だと思います。
ただ、ディスプレイ的な位置づけがメインになってきて、アプリのアイコンから起動するのではなく、何でもかんでも口で言う。それに対して情報をディスプレイに表示するというような、AIを中心としたユーザーインターフェースのデバイスになっていく気がしています。
スマホの未来、北さんはどう考えていますか?
そうですね。「スマホがなくならない」はあるというか、スマートフォンという言葉が変わるんじゃないかなという気はします。今までのスマートフォンとはそろそろ違うものになってきた、という時に名前は変わるんじゃないかなと。
あとは、いろんなデバイスとの連携が増えてくるのかなと思います。通信とプロセッサーはスマートフォンで担い、それ以外のディスプレイや音、時計といったものがどんどん増えていく。気が付いたら体の上に5〜10個ぐらいのデバイスが乗っていて、それをスマホが統べるような形になっていくのかなと思っています。
スマートグラスの可能性
いろんな体につけるものが増えると、ちょっと負担は増えるかなっていう気はするんですよね。だから例えば博士は普段メガネを使ってないですけれども、じゃスマートフォンを持つのとARグラスを付けるのと、どっちが違和感があるかっていったら、メガネをつける方が違和感がありませんか?
メガネをかけている方々にとっても、今のAIグラスは度付きにしなきゃいけないとか、でも度付きがないとか、いろいろありますよね。イヤホンにしても、耳にかけるのが嫌だという人もいます。
今、AIグラスが急に出てきていますけど、みんながAIグラスを使うようになるかというと、そうでもないでしょう。モバイルデバイスはまだまだ10年、20年と進化していくと思います。
今はAIが急に出てきて、表示デバイスとしてAIグラスが非常に優れているので話題になり、いろんなメーカーが参入しています。ただ、これが一つのゴールというわけでもないかなという気がしますよね。
メガネ型のものだと、例えばRokidグラスやEven RealitiesのG2のように緑の表示が出るタイプと、XREALのようにディスプレイが見えるものがあります。今のXREALは映像を見たり、スマートフォンと接続したりする用途。ナビゲーションや通訳・翻訳では、緑の表示のグラスが台頭してきている感じがしますね。
この辺りも、やっぱりディスプレイの進化だと思います。消費電力の問題もありますし、XREALの方は当然スマートフォンから情報を送ったりするので、技術的な進化によって、おそらく将来的には両方が統合されるでしょう。気が付いたら「5年前は緑色のグラスだったよね」という話になっているんじゃないかなという気がします。
何か「5年前はモノクロだったよね」みたいな。昔のパソコンみたいなイメージになるかもしれません。
石川さんはARグラスは何か使われてますか?
昔、それこそGoogleがGoogle Glassを出した10数年前は、アメリカまで買いに行ったりして、すごく頑張っていたんですけど、最近のものはもうあまりいいかなという状況です。いろんな展示会で試しはするけど、まあこんなものだよね、みたいな感じになっているというか。
ようやく最近になって、AIとの組み合わせによって目の前にあるものを認識して答えてくれるようになり、使い勝手が広がってきたので、ちょっと期待しています。
今年はおそらくGoogleとSamsungがタッグを組んで、結構いいものを出してくると思うので、そこには期待したいです。とはいえ、GoogleもSamsungも一時期一生懸命頑張って、XR系では失敗していたりもするので、なかなか難しいところがありますね。
予算的にも二の足を踏むみたいなことはあるかもしれないですよね。北さんは何か使われていますか?眼鏡型のデバイス。
XREAL、XREAL 2ですか?それを買って、狭いなと思って。
ディスプレイの表示領域が、ちょっと狭く感じたと。
Macとかとつないで拡張デスクトップ的に使いたいと思って買ったんですけど、やっぱりメガネの領域というか、顔を動かせば画面全部見えるけど、全部を映しきれないみたいな感じだったので、Meta Quest Proを買いまして。
ヘッドマウントディスプレイ型の方。
もうすごく視野角が広くて最高やなと思ったんですが、重たい、暑いとなって。例えばMeta Quest Proをカフェで付けられるかというと、XREALはギリギリいけるんですけど、Meta Quest Proは無理やなと思って。
ARとVRの見た目の違いみたいなのは、どうしてもありますよね。
夢というか拡張ディスプレイ的に使っても、どこにいっても本当にディスプレイ3枚ぐらいの環境で仕事できるみたいなのを目指したんですけど、ちょっと夢破れたって感じでした。
現時点では、ちょっと夢破れていると。
これからのスマホはどう進化する?
博士、ポストスマホとは言いつつ、スマホがまだ5年は続くという想定でした。今後、スマホはどんなふうに進化していくと思いますか?
とりあえず一番顕著な動きになりそうなのは、アプリケーションを操作するのではなく、AIエージェントを動かすという形です。そうなると、スマホの画面も変わる。これは僕が本当に十何年ぐらい前に夢の話としてしていたんですけど、スマートフォンの画面に株価の数字が流れたり、天気予報ではアニメーションで雲が浮かんだりする。
画面そのものが情報というか、自分を表す環境ディスプレイみたいなものになって、そこに何かしゃべりかけると、画面の上にテキストが流れていろいろな情報が出る。スマートフォンのガラス・ディスプレイそのものの表示が、まず大きく変わるんじゃないかなと思います。
今は自分の欲しい情報を、アプリとかに取りに行っているのが、もう何もない無のところに対して、エージェントが動いてるっていうような形ですね。
今はチャットのような形式になってるけど、それももしかすると変わるのかなと。単純にテキストが並ぶのではなく、本当に注目したいのは、ディスプレイの3D化というか奥行きですよね。
現状はまだ文字が並んでいるものを、いかにリッチにするかという段階です。例えば「コーラが飲みたいよね」と言った時に、コーラが本当に立体的にぱっと見えると、より欲しくなってタップしようかなという感じになる。ディスプレイの進化は非常に気になっているところです。
我々は人間なので、物を目で見ます。テキストも、いろんな写真や動画も見ますからね。そういう点では、北さんがいろいろなディスプレイを使って苦労されていたと思うんですけど、実用化されるかなと思うのは、家中、机中というか、世界中どこの壁もディスプレイになることです。
手でそこに正方形を描くと、そこだけがディスプレイになる。僕はもう5年ぐらいと言っていて、ちょっとだいぶ先になっているかもしれないけど。
いわゆる映画の中でトムクルーズがやっていたような、目の前にディスプレイが自動的に現れるということですね。
それは他の人に見られるじゃんと思っていたんですけど、Samsungがこの前、Galaxy S26 Ultraでプライバシーディスプレイをやりましたよね。あの技術を使うと、真後ろからは見られるかもしれないけど、横からはのぞき見されない。
そういうことを考えると、ディスプレイサイズが今より少し大きくなり、逆に薄くなって重さも変わらないぐらいであれば、スマートフォンは人間が目で直接見るデバイスとして残る。カメラなどよりも、コンテンツが見やすいデバイスになっていくんじゃないかなと、漠然としていますけど思います。
AIエージェントの進化
世の中が全部ディスプレイになると。石川さんは5年後のスマホどう予想されますか?
ハードウェアはなかなか進化するのが難しいので、AIエージェントが進化するのかなと思っています。期待したいのは、自分がスマホの中に飼っているAIエージェントと、例えば山根さんがスマホの中に飼っているAIエージェントが、勝手に調整してくれることです。
例えば「週末、山根さんとご飯に行こうか?」と言った時に、それぞれのAIエージェントがクラウド上で、石川はその直前にここにいて、山根さんはここにいるから、間を取ってこの辺のお店にしようと考える。山根さんは魚卵があまり好きじゃないから、魚卵ではないレストランを選ぶといったことを、AIが好みを判断してやってくれる。
自分のことを全て知っているスマホの中のAIエージェントが、いろいろなところに行って調整してくれる。銀行振り込みや請求書の発行もやってくれる。そういう流れになると面白いと思うので、もっとスマホがないと生活が不便になるような世界観になっていく気がしています。
今もいわゆるAIエージェントで、自分たちで組めばそういうことをできなくはないですけど、いろんな人がスマホ一つで、それができるようになる世界というのは、すごく優しいですよね。
スマートフォンがなぜこれほど普及したかというと、コミュニケーションツールだったことが一番大きいと思うんですよ。人とつながりたいから、ガラケーではなくスマホに買い換える。LINEやLINEのグループに入りたい、仲間外れになりたくないから、別にスマホに興味がなくてもガラケーから乗り換える、ということがあったと思います。
スマホは人とつながるためのツールで、今「スマホの次は何だ?」という議論がされる中で、そういった人とつながるためのツールという視点が、一切欠けていると思います。
確かにそうですね。
じゃあグラスを掛けた時、スマートグラスを掛けた時に友達とつながる、スマートグラスを買ったからゆえに、こんなに友達と繋ぐのが楽しいんだっていう、そういった要素があるとスマートグラスって売れていくと思うんですけど、単に掛けて「こういうのが見えますよ」っていう視点だと、全然それって普及しないだろうなと思っているので、じゃあ人と繋がるための進化っていうところは、まだまだ可能性もあるだろうし、もっと面白いものができるんじゃないのかなと思います。
確かに、パソコン通信があったからこそ、パソコンをやりたいと言って始めた人も多いわけですから、スマートフォンもそうですね。私もTwitter(現在のX)がやりたくて買ったというところがあります。
フィジカルAIについて
北さんはどう思われますか?
多分、AIとは切っても切り離せないですし、フィジカルAIがまた来るのかなと思っています。ポケとも、いたじゃないですか。我らのポケとも。あれみたいなものが、普通にフィジカルAIの入れ物のような形でいる。
今までAIはネットの向こう側にいましたが、ポケともがすごくいいなと思ったのは、人形とスマホを行ったり来たりするところです。あんな感じでマイAIがいろんなところに行って、時々山根さんのところに遊びに行くようになると、AIとの付き合い方も変わってくるのかなと思います。ああいう素敵な相棒ができたらいいなと思っています。
私はずっとAIエージェントが肩に乗ってくれたらいいなって思っているので、いわゆるアニメの相棒のキャラクターって肩に乗ったりしてくれるじゃないですか。あれが今のスマホなのか、もしかしたらドコモのSyncMeなのかわかりませんが、ああいうものがいて、博士の肩に乗ってるものと、私の肩に乗ってるものが会話をしてたりしたら、可愛いなと思ったりしますね。
そういう点でフィジカルAI的な融合を見せたのが、MWCでのHONORのRobot Phoneです。あれはスマホからジンバルカメラが動くだけなんですが、見た時に「あれ、外せるようになっても面白いんじゃないの?」と思いました。
普段はスマートフォンの裏側に、自分のエージェントになるロボットがくっついている。それを外して机の上に置くと、トコトコと石川さんのところへ歩いていき、石川さんのRobot Phoneのロボットとダンスを踊るとかね。単純な技術の進化だけではなく、見せ方として楽しいという無駄な部分も、人間は欲しいじゃないですか。
AIエージェントロボットがいろいろ出てきて、みんな可愛くて、弓月さんも使われているように着せ替えができる。技術的には意味がなくても、それによって和む効果はあります。単純な技術の進化だけでなく、ちょっとした遊び心がないと面白くない。
そういった遊び心は、昔はアメリカや日本の人が得意だったのが、最近は中国の人が得意になってきています。もしかすると5年後、10年後にはベトナムやインドの人たち、特に踊りが好きなインドの人たちが開発するフィジカルAI搭載スマートフォンが動き回るかもしれない。ダンシングスマートフォンです。
石川さんがさっきおっしゃってたように、コミュニケーションという意味ではLINEが流行ったのも、スタンプが可愛かったからっていうのもありますから、もしかしたらキーワード「可愛さとコミュニケーション」なのかもしれません。
ポストスマホの総括
Mobile Tech Lab、そろそろお別れの時間となりました。今日はポストスマホというお話でしたけれども、石川さんいかがでしたか?
そうですね。ポストスマホの話は、ちょいちょい出たりもするんですよ。メディアとしても、いろんなデバイスが出るたびに「スマホの次だ」というタイトルが付いて、みんな煽るんですけど、やっぱり自分としては、スマホの次はスマホかなとずっと思っています。
スマホはなくならない。
なんだかんだ言って、人間の手のサイズはスマホが出てきてからも変わっていないし、体のさまざまな機能も何も変わっていません。スマホのサイズ感も今のサイズに集約していて、大きさの面ではもうほぼ変わっていない。
なんだかんだで今のサイズ感が居心地のいいものなので、それを超えるような使い勝手の良さや、体へのフィット感を持つデバイスは、この先作るのが結構大変なんじゃないのかなと個人的には思っています。
ちなみにスマホの形って、基本的には角張ってるじゃないですか。あの形は変わると思いますか?
結局、電池を最大容量まで詰めたら、四角の方がいいよねというところに行き着くわけですよ。例えばコンパクトで画面が小さく、背面が丸まっていて、「こんなかっこいいスマホがあるだろ」と言ったメーカーがあったとしても、結局あれって、いまひとつだったりしたじゃないですか。
昔のiPhoneなどはそれでも良かったんですけど、今ユーザーが求めるバッテリーの長さや手に持った感じ、作る上でのコストを考えると、今の形になっていたりもする。デジカメも、出た当初はすごく奇抜なデザインがありました。
丸いものもありましたもんね。コンパクトタイプとか。
なんだかんだで、昔のカメラの形になっているじゃないですか。動画を撮るものですら今はあの形になっていることを考えると、人間が持つヒューマンインターフェース的なところは、あまり変わらないんじゃないのかなと思います。すごく夢がなくて申し訳ないですけど。
現実的なところで。
っていう気がしています。
なるほど、博士いかがですか?
未来のスマートフォンの話の時に必ず僕が話してるのは、合体式・モジュラー式スマートフォンなんですけど、全て失敗してるんですよね。成功したメーカーが1社もない。
いろんなパーツを組み合わせる合体式スマホですね。
これはもう、何歳になっても男の子のロマンなんです。この話をしたら一番みなさんがワクワクするけど、最も非現実的なんですよね。せめてカメラぐらい取り外させてよ、という思いもあって、さっきRobot Phoneが外れるという話をしたんですけど、まあなかなか外さないでしょう。
ロマンと現実は違うなというのをかみ締めながら、次は何が来るのかなと日々思って、世界中を飛び回っております。
ただ、ポケとものように、オプションでスマホに付いてくるというものは結構あったりするので。
オプションはOKです。
一体化してなくても。
一体化したらダメなんです。
一体化しなければいいけども、合体するとちょっと失敗しがち。
大失敗するという。
どうしてもね予算とかもかかりますし、いろんな金型も必要になるとは思いますけれども、でもオプションという意味では合体するっていう、あとから合体させるっていうのはありなんじゃないですか?
ありなんですけどまあ、夢を見ないようにそこはしておいた方がいいかなとね。
デジカメなどでも、iPhoneにくっつけるパターンのものがあったりしますけれどもね。北さん、いかがでしたか?
スマホそのものというよりは、周りがどんどん便利になっていくのかなという気がします。ロール式のディスプレイも出てくるだろうし、夢のホログラムが出てきたらいいな、というのもあります。
スマホそのものは今のまま正統進化を遂げながら、他のデバイスと組み合わせて便利になるのかなという、他のみなさんとほとんど変わらない意見です。
その一方で、やっぱり合体には非常に夢を感じております。10個ぐらいのデバイスがガシャーンと1個になって、その時には最強の必殺技が使えるような世界になるといいなと思います。
私は以前、CESでデルタ航空が展示していた、その人にだけカスタマイズした表示が見えるディスプレイを思い出しました。私たちの持っているスマホは変わらなくても、外の電光掲示板やディスプレイ自体が変わる未来もあるのかなと思っています。
お話は尽きませんけれども、またぜひこの話について深掘りできればと思います。それでは、また来週もこの時間にお会いしましょう。お相手はパーソナリティの弓月ひろみと。
スマホケータイジャーナリストの石川温と。
INNOMOの北真也と。
携帯研究家の山根康宏でした。
それではまた来週。
